天才少年がみんな一流選手にならないのはなぜか?
テレビなどでよく取り上げられている、未来の日本スポーツ界を背負って立つ的な「天才少年特集」の話です。
天才?
子どもの頃から天才と言われていた選手がオリンピックで活躍する姿は、国民としてつい自分の家族のような気持ちで応援してしまいます。
では、この2人のように子どもの頃からトップ選手であり続け、順調に日本代表クラスになるような選手になる例ばかりかというと、そんなことはないですよね。
むしろ逆で、子どもの頃はまったく無名だった選手がトップ選手になっている例も多いし、小中学生の頃トップクラスだった選手がいつの間にか消えてしまうということは、さまざまな競技で起こっています。
なぜでしょうか?
彼ら、彼女らは天才ではなくなってしまったのでしょうか?
天才が凡人になる理由
ひとつは、メンタル的な部分と言えます。
小さい頃からもてはやされてきたことが、だんだんプレッシャーになり押しつぶされて競技から離れてしまったり、自尊心が強くなるあまり慢心しトレーニングを怠って周りから抜かれていってしまったり、心の問題であるケースは往々にしてあると思います。
しかし、私がこのこと以上に問題だと思っているのは、選手の成長を指導者や保護者が見誤るケースです。
最近たまたま私がテレビで見た2つの例がまさにそれに当てはまります。
競技を言うとわかってしまうので伏せますが、1人は団体競技の小学生Aくん、もう1人は個人競技の中学生Bくんです。
どちらも非常に将来有望ということで注目されており、Aくんは小学生の日本代表に選ばれていて、Bくんはすでに中学生では敵なしで大人の大会に出場していました。
私はサッカー以外は競技としては専門ではありませんが、そんな私がテレビで見ても、2人とも将来的にトップ選手になることは難しいと感じました。
細かい見抜き方は企業秘密ですが(笑)、2人とも明らかに早熟でした。
身体の成長が早く、周囲の同学年の選手には現状勝ててしまっていると感じました。
そういった選手に小中学生で身に着けておくべき、技術的なことや身体を思い通りに動かすことを怠り、今試合に勝つためにスピードやパワーを使ってプレーし続けていると、3年後には周囲の選手の身体的成長が追いつきます。
すると、天才は平凡なプレーヤーのひとりになってしまいます。
実は…?
実は、私がいい例です。
私は小学生の頃、ずっと身体が大きく、6年生で170cmありました。
普通にシュートを打てばゴールに入るし、相手がボールを取りにきても簡単に取られることはなく、本気で走ればほとんど負けないという感じでした。
それゆえ、あまり周りを観たり、先のことを予測したりしたことがありませんでした。
中学生になると、徐々にみんな大きくなってきて、自分も同じように大きくなると思っていましたが、中学3年間で2㎝しか伸びず、その頃には普通の中学校のサッカー部でやっと試合に出られるレベルの選手になってしまっていました。
高校では1㎝も伸びず、小学生のときには必ず選ばれていた運動会のリレーの選手にも3年間で一度も選ばれませんでした。
試合には出ていましたが、小学生の頃の活躍など見る影もなくなってしまいました。
つまり、
ただ成長が早いだけだったのです。
それなのに、すべてがうまくいっていた小学生の頃に、技術的にも戦術的にもレベルが低いことに気づけずに、必要なトレーニングをしてこなかったので、大成できませんでした。
あきらめないで!
そこで、指導者や保護者に気を付けていただきたいことは、
- 子どもの頃のパフォーマンスがそのまま続くわけじゃないと知ること
- 年齢や成長に応じて必要なことと必要でないことがあることを知ること
です。
なので、
小さな頃にうまくいかなくても必ずしも諦める必要はない
と伝えたいです。
それぞれのペースで成長すればよいと思います。
明日は、いつ、どんな能力が伸びるのかについて考えてみたいと思います。