全国大会を目指す少年たち
昨日まで、年代ごとにこの自粛期間中のサッカー少年のトレーニングにおいて気をつけてほしいことを考えてきました。
小学生の記事が一番読まれていたので、小学生のサッカーについて、ちょっと深く考えてみたいと思います。
可能性無限大
当たり前ですが、小学生は子どもです。
小さな大人ではありません。
大人のサッカーをそのまま取り入れることはできませんし、今の上手さや身体の大きさや足の速さがそのまま将来の実力になるかどうかはわかりません。
思い返してみてください。
小学生の頃、近所で一番上手かった子がずっと一番上手くてそのままプロになっていますか?
高校生になってその子より活躍している子は何人いますか?
では、一番だった子はなぜ一番じゃなくなったんでしょう。
努力が足りなかったのでしょうか?
慢心してしまったのでしょうか?
そうではない場合の方が多いと思います。
将来だれがどれくらい上手くなって活躍できるようになるかは小学生の頃のパフォーマンスだけではわからないということです。
可能性を潰す全国大会
将来どうなるかわからないのに、チームの試合では、エースの子に大きな負担が掛かります。
体力的にも精神的にも。
そして、本来、たくさんの子が試合に出られるように11人制から8人制になったはずです(ピッチが2面倒作れて同時に16人ずつ出場できるから)が、チームによっては、ベンチ要員を増やしただけになっています。
この原因はひとつです。
全国大会に出るため。
この弊害はとても大きいです。
全国大会に出るためには、足の速い子はサイドアタッカーかフォワードになるでしょう。
でも、ほんとはすごく守備が上手いかもしれません。
視野が広くてロングフィードが得意かもしれません。
実は、成長が早くて今相対的に周りの子より足が速いだけかもしれません。
スピードを生かしたドリブルしかしなかった小学生が高校生になってスピードを失っていたらどうなるでしょう。
小学生の頃は全国でも通用したかもしれませんが、高校ではレギュラーにもなれないかもしれません。
だから別に小学生で全国なんて目指さなくていいんです。
全国大会すら必要ないと思います。
だって子どもの成長を阻害してしまうから。
そして、恐ろしいのは、そこでの成功体験は、本人にも親にも指導者にも強烈に残ってしまい、正しいと思ってしまう。
その子も親も、あの頃は上手くいっていたのにと思って間違った努力をどんどん増やしてしまう。
指導者は、同じような不幸な子を毎年増やし続けてしまう。
ほんとにに恐ろしいです。
全国大会に出場すること自体は素晴らしいことだと思います。
ただ、そのために将来が犠牲になってしまったり、その過程でサッカーを嫌いになってしまっては本末転倒です。
すべてのサッカー少年たちがいつまでもサッカーが大好きであるように祈るばかりです。