サッカーができるようになったら…
夏をどう迎えるか?
夏は、育成年代のサッカー選手やチームにとっては、遠征や合宿を繰り返して強くなる時期。
それが日本の常識です。
しかし今、世の中は大きく変わろうとしていて、スポーツの常識も例外ではありません。
高校総体や全中が中止になり、クラブユースは延期され、仮にあと1か月ぐらいでこの事態が収束しても、公式戦のない夏がやってきます。
そのとき、私たちの取る行動は2パターンに分かれると思われます。
1つ。
これまでの遅れを取り戻すために、例年同様かそれ以上にハードなスケジュールを組む。
2つ。
今までがそもそも無理があるやり方だったんだと思い、根本的に考え方を変える。
あなたはどちらですか?
私の考えは後者なので、その前提で進めます。
前者を否定しているわけではないです!
が、前者の考えは、私個人的には危険だと思います。
なぜなら、今、どんなに個人でトレーニングに励んでいる人も、やはり普段の練習や試合に敵う負荷や強度を保つのは無理だからです。
体力的な面だけとっても、サッカーに必要な体力は、試合のプレッシャーや判断、予期せぬ切り替え、得点や失点によるメンタル的な浮き沈みの中で身に付くものです。
補助的に素走りがあるとしても、それだけでサッカーの体力を維持するのは不可能です。
そんな状態が何ヵ月も続いていたのに、いきなり試合をしたり、合宿で追い込んだりするのはとても危険だと思います。
焦らずじっくりと、さまざまな感覚を戻していく、または新たに身に付けていく必要があると思います。
暑い夏の過ごし方
では、どのように過ごしたらよいのでしょうか?
ひとつは、もう真夏はチーム活動をしない!
実際、ヨーロッパのほとんどの国では、そうです。
約3ヶ月、少年たちはチーム活動から離れます。
アメリカなどでも、季節ごとに違う競技に取り組むそうです。
そこで、心身ともにリフレッシュし、栄養は身体に行き届いてひと回り大きくなり、サッカー以外の刺激をたくさん受けて、みんなピッチに帰ってきます。
まあしかし、いきなり日本でこれは難しい気もします。
しばらくチーム活動できてないのでなおさらですね。
では次の案。
日中を避け、適度に休日を入れる。
これなら、現実的ではないでしょうか?
しかも今年は、例年参加しているから今年も…という感じでいつもと同じフェスティバルに参加することがかなり減るでしょうから絶好のチャンスです。
思い切って1からスケジュールを組み直しましょう。
例えば、
韓国の例です。
ある夏のフェスティバルの方式です。
17歳以下のKリーグトップレベルのユースチームの大会に日本から3チーム招待して行う大会でした。
ちなみに、日本で夏の高校生のフェスティバルと言えば、朝から夕方までびっしり3試合ぐらいというのが普通でしょう。
小中学生でもそうですね。
韓国のこの大会では、1日1試合。
しかも、中1日。
予選3試合を1日置きに行い、勝ち抜いたチームは最大2週間で6試合、予選敗退チームは1週間で3試合でした。
それじゃ強化にならない!
出場機会が確保できない!
という意見が飛び交うでしょう。
しかし、1日1試合というのは、本来の公式戦を考えればごく自然です。
その1試合で、または途中出場の15分で力を出し切る!役割を果たす!
そういう癖をつけられます。
集中力のレベルが変わるということです。
勝ち負けにも自然に貪欲になります。
指導者も、育成と勝利の両方を公式戦と同じレベルで体感できます。
これが、強化するということだと思います。
1日3試合もあると、どんなに意識していても、「あと2試合…」と考えてしまいます。
1日3試合の身体になってしまいます。
それではいざ本番、この1試合、この瞬間、という場面での集中力に大きな差が生まれてしまいます。
しかもこの韓国の試合、キックオフが第1試合なら18:00、第2試合なら19:30だったのです。
日本ではちょっとあり得ないですよね。
でも、Jリーグや国際試合ではそういう時間も多いし、育成年代からその時間帯の試合に慣れておくのも良いでしょう。
特に、日帰りでは難しいからこそ、遠征のときにこそできることではないでしょうか!!
これにより、 試合にむけての日中の過ごし方、試合日と試合日の間の過ごし方も身に付けることができます。
韓国の例から何を学ぶか
この例からは、ただ試合を繰り返すことだけでなく、試合に向けてのメンタル面、フィジカル面の準備も含めて強化することの大切さを学べると思います。
例えば、フル出場した選手と出場できなかった選手では、翌日の過ごし方は、回復に努めるか、しっかりトレーニングするかなど、変わってくるはずです。
指導者側も、試合を繰り返すだけでは学べないことだと思います。
1試合を大切にし、いかに良い準備をするか?
韓国でもやっていることです。
そろそろ私たち日本も取り組むべきことではないかと思います。