夏の大会の現状
一昨日、昨日と9月入学になったときのサッカーのことを年代やスケジュールという視点から考えてみました。
その中で、夏の大会について触れたので、現状を私の知っている範囲でまとめてみたいと思います。
暑さとの戦い
育成年代は特にですが、夏は暑さとの戦いです。
当たり前のことを言っていますが、少し深く考えてみたいと思います。
大きな大会は、参加者、関係者、保護者や観客など多くの人が関わります。
その人たちの安全が確保されて初めて、する人、見る人、支える人みんなが競技に集中できます。
なので、一番考えなければならないのは、暑熱対策ということになります。
暑熱対策として、行われていることはざっくりこんな感じでしょうか。
チーム、選手
- 体調管理
- 早起き
- 飲み物、氷、タオル、スポンジなどの準備
- 有事の際の応急処置の準備、近隣の病院などのチェック
観客、保護者
- 自身の暑熱対策
- 早起き
- 保護者の場合、子供に持たせるスポーツドリンクなどの準備
主催者、運営者
- 自身の暑熱対策
- 試合時間短縮
- 昼間を避けた試合時刻の設定
- クーリングブレイクや飲水タイムの要否の判断のためWBGT計測器の準備
普通に試合をするよりかなり多くの精神的、肉体的、経済的負担がかかることがわかると思います。
各大会の状況
より具体的に見ていきたいと思います。
U-15クラブユースの全国大会は北海道で行われます。
唯一、夏の全国大会で問題なく開催できていると言えるとでしょう。
その分、多くのチームには多額の旅費がかかるのが難点です。
ある街クラブは保護者負担が選手本人分だけで20万円でした。
また別のクラブでは、チームで450万円かかるため、いかにして保護者負担を失くすかを必死で考えていました。
クラブユースはクラブユース連盟主催なので、高円宮杯などのJFA主催大会と違い補助金が出ません。
その差はとても大きいです。
クラブユースには各地区での予選があります。
また、全国大会に出場できかったチームのためのインターシティカップという準全国大会もあります。
これらは、思いっきり暑熱対策が必要です。
ある会場では、医務室に加え、トレーナーの派遣、ミストの設置などがなされていました。
この大会では、真昼を避けるために早朝と夕方のキックオフとなります。
選手が昼にゆっくり休憩できて、少しでも涼しい時間に試合できるようにとの配慮ですが、その分大人は、朝早くから夕方遅くまで大変です。
ある地域の大会では、8時台のキックオフがありました。
8時台から試合をするためには、チーム関係者や運営者は6時台には会場にいなければなりません。
都道府県を跨ぐ移動も多いので2時、3時起床ということもあります。
昼間は3~4時間暑いだけの暇な時間が続き、夕方の試合を終えて帰ればもう夜です。
それが2~3日続いたりします。
宿泊すれば睡眠時間は増えますが、当然費用がかさみます。
運営者であれば、そんな中でも有事の際には責任問題にもなるので、気を抜くこともできません。
さらに、各チームが宿泊しての集中開催の場合には、大会によっては朝の試合のさらに前にB戦を行ったりします。
出られない選手のための配慮ですが、6時半とかそんな時間から試合となると、怪我のリスクは跳ね上がります。
指導者も夜にも懇親会があったりするので心身ともに持たないでしょう。
私が観た試合では、心なしか指導者の暴言が多かった気がします。
そりゃイライラもしますよね。
子どもたちもそんな時間から怒鳴られて可哀想。
総体やクラブユースでは、昨日も書いたように、試合が10分程度でぶつ切りになり、流れも何もありません。
加えて、宿の都合で選手登録人数が減らされ、連戦での負担が増えて怪我人が出てさらに個々の負担が増えたり、また費用を抑えるために指導者が何十時間もバスを運転したり、選手生命や命に関わるようなリスクもあります。
今年の夏を無事に向かえられても…
今、何よりも命が大切だという理由で様々なイベントが中止になっています。
夏に事態が収束していて通常の生活に戻れていたとしても、学校などでカリキュラムをこなすことや、スポーツ現場では試合機会の確保のために、の前に、関わる人すべての安全確保を最優先に考えてほしいと強く思います。
プレイヤーズファーストという言葉は大人に無理をさせる呪縛の言葉でもあります。
する人、見る人、関わる人全員ファーストでいきましょう‼️