プロサッカー選手になるには…?
昨日の記事では、子どもの所属するチームと家庭の方針が異なるときの解決法の例をご紹介させていただきました。
今日はまた違う例を考えてみたいと思います。
プロになりたい!
男の子の将来の夢の王道、プロサッカー選手。
最近はYouTuberにまくられていますが…笑
少年のころには多くの子どもが夢と語りますが、分岐点となるのは中学校や高校へ進学するタイミングではないでしょうか。
プロになれる可能性が少しでも高いと思われるチームに入るか、勉強や学校生活のと両立を重視してサッカーはクラブ活動や趣味としてやるのか。
ここでも、まずポイントになるのは、親の関わり具合いだと思います。
- すべて本人の好きにさせる
- 親が一緒に考えたり、チームを探したりする
- 親が主導で決める
自分も親になってみて思いますが、親はみんな親バカです。
他の人の知らないところで苦労して、命懸けで子どもを産み、育てるのですからある意味当然でしょう。
なので、自分が1. と思っている人はだいたい2. ですし、2. と思っている人はだいたい3. をやっていると思ってほぼ間違いないです。
自分も気をつけたいと思います。
例えば…
息子は13歳、プロサッカー選手を目標に日々練習に励んでいます。
両親は、サッカー経験はありませんが、本人がそういうならと7歳から地元の少年団で活動してきました。
その学年には、たまたま能力の高い子が集まっており、チーム史上初めて全国大会に出場しました。
そのときFWをやっていた息子は県大会で得点王となり、県トレセン(県の選抜チーム)にも選ばれるようになりました。
気がつけば、両親ともに毎週息子のサッカーの応援にいくのが一番の楽しみになり、チームでも車出しや会場準備など、中心となって行うようになりました。
その頃には、両親もかなりサッカーに詳しくなり、「プロになりたい」という息子の夢を全力でサポートしようと思うようになっていました。
5年生の終わりごろから、保護者の中では進学の話で持ちきりになり、Jクラブの下部組織のセレクション受験を考え始めます。
その地域からは、隣県も合わせると通うことが可能なJクラブが4つあります。
すべてのクラブのセレクションを父親が調べ、息子に受験を進めました。
息子は、
「Jクラブの下部組織に入ってプロになる!」
というのが口癖になりました。3つ受験が終わり、1つは最終選考まで残ったものの合格はひとつもありません。
最後の1つはJ2で下位のクラブでしたが、とにかくJクラブに入りたいという意気込みが伝わったのか、見事合格!
その日から、両親はより一層力を入れ始め、トレーニング法やスパイクの種類などいろいろと調べては子どもに授け、毎朝お父さんとふたりで朝練をしました。
「プロになるにはこんなもんじゃ足りない!」
それがいつしかお父さんの口癖になりました。
さて、4月になり、待ちに待った活動が始まります。担当のコーチは元Jリーガー、指導歴は短いですが、一緒にプレーすればどの子よりも上手く、見るだけで勉強になるという話も聞きます。
どんなハードなトレーニングの日々が始まるのかと家族でいろいろ想像していましたが、蓋を開けると、毎週必ず2日はオフがあり、週3で休みのときもありました。
練習も2時間弱で終わるし、週末の試合も1試合で終わり。
午前中しか活動がないこともしばしばありました。
「このチームのコーチはやる気がないのか…プロになるにはこんなもんじゃ足りない」
お父さんは思い、朝練を30分から1時間に増やし、ダッシュや筋トレなど、よりハードなメニューを組みました。
しかし、息子はなかなか上手くならず、次第にチームの中でも出場機会が減っていきます。
1年経ってもチームのトレーニングのサイクルは変わらず、気がつけば、あんなに朝練をやってきたにもかかわらず、スピードもパワーも全然付いていないようにお父さんには映りました。
試合会場にも足しげく通っては「がんばれー」とひときわ大きな声で応援しました。
しかし、ついに大きな変化もなく2年生になりました。
同じコーチが引き続き担当することが決まり、お父さんはこのままではいけないと思い、意を決してコーチに電話しました。しかし、コーチからは
「お子さんはまだ中1です。今必要なトレーニングはやってますから見守ってあげてください」
としか言われません。
「あなたはそれでもプロになれたかもしれないが、うちの子はそんなんじゃ足りないんだ!」
喉まで出かかった言葉を必死に飲み込みました。
あなたならどうしますか?
さて、ここからお父さんはどうすればよいでしょうか?
ここで立ち返るべきは、
プロサッカー選手はだれの夢なのか?
ということです。
当たり前ですが、これは息子の夢のはずです。
しかし、このお父さんは始めは純粋に応援していたはずでしたが、いつの間にか、それが自分の夢に変わってしまっていたことに気がつくことができませんでした。
プロになるために選んだチームなら、プロの指導に100%任せるべきだったのです。
担当コーチは、選手を引退して間もなく、まだ口下手ではありましたが、選手の成長のために中学生のころには、しっかり休ませることで、身体の成長を促すという考え方のJクラブは多いです。
そして、高校生から本格的なスピードやパワーのトレーニングを開始し、練習回数も増えます。
お父さんの調べた知識は実は大人向けのトレーニングだったのです。
チームの方針に反してハードなトレーニングを課した息子は疲労で肝心のチーム活動で力を発揮できず、身体の成長にもエネルギーを使えなくて成長を阻害してしまったかもしれませんね。
プロになるためにプロに預けるなら、口出しせずにプロに従う
というのが正解だったと言える例だと思います。
こうなる前に…
もっと早く手を打てるとしたら、どうでしょうか?
それは、子どもとの接し方です。
サッカーの指導はサッカーのコーチに任せて、親としてのみ接することで、違った成長の可能性もあったのではないかと思います。
息子はほんとに
Jクラブに入りたかったのか?
朝練の必要性を感じていたのか?
声を出して応援してほしかったのか?
もし私なら、
進路について聞かれれば相談に乗ります。
チーム以外の時間をどう使うかは本人に任せます。
応援に行くときは行きますが、声を発するとしたら、帰ってきたときに一言です。
「おつかれさま」
どうしても息子の成長に感動したときにはもう一言、
「上手くなったな」
あとは、家族で美味しくご飯を食べる!
それで十分じゃないかと思います。