私のコーチ人生の中で感じていることを綴ります。
自分の子どもにどんな大人になってほしいですか?
この問いに対しての答えは、もちろん人それぞれだと思います。
しかし、大方似通った答えになるとも思います。
多くの親が、子どもには、
- 幸せになってほしい
- 優しい人になってほしい
- 明るい人になってほしい
- 素直な人になってほしい
- 努力できる人になってほしい
- 挨拶のできる人になってほしい
- 人から学べる人になってほしい
- 自分で考えられる人になってほしい
- 人の気持ちを考えられる人になってほしい
というようなことを思うのではないでしょうか?
私も自分の子どもに対してはすべてそう思います。
そのため、多くの家庭がこのようなことを大切にして教育するでしょうし、スポーツのチームでもこのような指導が行われ、保護者もそれを求める傾向が強いと思います。
育成年代に蔓延る挨拶
例えば挨拶です。
「挨拶ができる人になりなさい」
人類のほぼ全員が言われて育ってきたでしょう。
ではなぜみんなが挨拶のできる人に育たないのでしょうか?
同じマンションの人にすら挨拶ができない人もいれば、公園でウォーキング中の人に挨拶しても、返してくれない人もかなりいます。
私は教育の仕方に問題があると思っています。
スポーツ少年の挨拶ってどんなイメージですか?
すれ違う大人に対して、立ち止まって、帽子を取り、深々と頭を下げて、大きな声で、
「こんにちは!!」
実に気持ちのいい挨拶…
でしょうかほんとに。
子どものそんな姿を見て、指導者も親も満足気な表情をするのでしょうが、
それって挨拶と言えますか?
って、私は思います。
挨拶に一番大切なのは、声の大きさでもお辞儀の深さでもなく、相手に対する気持ちだと思います。
挨拶する相手に対して、
- 今日はよろしくお願いします
- いつもお疲れ様です
- お気遣いありがとうございます
という気持ちがあれば、自然な挨拶は、その都度、相手や状況に合わせて声のトーンや表情が変わったり発する言葉が変わったりするはずです。
中高生でも、挨拶がてら一言二言会話があってもいいはずです。
しかし、試合会場で初めて出会う子どもたちの多くは、形は素晴らしいけれどもなんの心も感じない挨拶を一様に浴びせかけてきます。
「こんにちは!!」
そんなとき、私のかける言葉はだいたい決まっています。
「ほんとにこんにちはって思ってる?」
今までその問いに答えてくれた子はひとりもいません。
教わったマニュアルにないので、黙り込むしかないんだと思います。
でも、私は意地悪してるわけじゃないんです。
考えるきっかけになればと思って言っています。
あと、何回も挨拶してくる子にも言います。
「さっき挨拶したよ。覚えてない?」
おそらく、とにかく試合会場ではだれにでも何回でも挨拶しろと指導されているんでしょう。
それは、一回挨拶しなかったことを
「あのチームの子は挨拶できない」
と咎められることを指導者が恐れているからです。
でも、1分前に挨拶した子に、また
「おはようございます!」
と言われても、さっきの挨拶のときに顔も見ずに何も感じずに挨拶されてたんだなと思うので、逆効果だと思います。
つまり、表面上の教育になってしまい、本質的なことはまったく身に付いていないことになります。
そして、やらされている挨拶は、やらせる人から離れたらどうなるでしょう。
やらなくなるのみです。
つまり、なんの意味もない挨拶ハラスメントを大人になるまで受け続けることになります。
そして、人に挨拶できない大人になります。
そういう教育を受けたおかげで挨拶できるようになったと思っているあなた、それはあなたが持っている人間性です。
おそらくその教育を受けなくてもあなたは挨拶できる人になっているのではないでしょうか。
ではどうすればよいか?
偉そうに言うお前はどんな教育してんだ!
となりますよね。
私はもちろん本質的な話はたまにします。
「こんにちはってどういう意味?
- 今日は、天気がいいね。
- 今日は、調子どうですか?
のような会話の始まりの言葉だよね。
だから会話を続けるつもりで話しかければそれが挨拶だよ。」
まあそんな話も年に1回するかしないかです。
大人の説教は、子どもは聞いている顔をしてだいたい違うことを考えていますから。
なので、私が一番意識しているのは背中で見せることです。
保護者や他のチームの指導者に笑顔で話しかけにいく姿を子どもたちに見せることで、挨拶とはなにかを感じてもらえるように振る舞っています。
別にその子がすぐに挨拶できるようにならなくてもいいんです。
それで周囲から
「お前のチームは挨拶できない」
と言われたら、指導方針を説明するだけです。
それでわかってもらえないならしょうがないです。
私の評価が下がるだけです。
でも、私自身が背中で見せ続けていれば、わかってくれる人はわかってくれます。
それで十分ですし、あなたに預けたいと言ってくれる保護者や指導者から選手を預かりたいとも思います。
これからも、今はできなくても大人になって挨拶ができるようになるための育成を続けていこうと思います。
挨拶の例だけで終わってしまいました。
あと2日ぐらい、違う例を挙げて綴ってみたいと思います。